30代で若年性アルツハイマー病になった経験から様々な活動を行っている丹野智文さん

若年性アルツハイマー病や自閉症障害の方に対して音楽療法が向き合えることはなんだろう?

そんな疑問も問いかけてくれた日本音楽療法学会のシンポジウム。患者さんはもちろん、精神科医の分野の先生や、支援学校の教師、そして認知行動療法の視点も交えつつ進んでいきました。

本来は「シンポジウム」全体として記事を書こうと思っていましたが、登壇者の1人の丹野さんが若年性アルツハイマー病において幅広い活動をされているため、今回のスピーチと交えて丹野さんの活動もご紹介しようと思います。

この記事は第15回 日本音楽療法学会関東支部地方大会の続き記事となります。

第15回 日本音楽療法学会関東支部地方大会 へ行ってきました!

30代で若年性アルツハイマー病と診断された丹野智文さん

丹野さんは、奥様と中高生のお嬢様との4人暮らしをなさっています。ネットトヨタ仙台に勤務されており、2013年の39歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断されました。現在でも、会社の理解があり、営業職から事務職に移動して勤務されています。

会社勤めをしながら、若年性アルツハイマー病での経験を元に、認知症の患者さんを支える新たな窓口の創設や、同じ病気になった人に向けての講演会を行っています。
https://miyagininntishou.jimdo.com/

公益財団法人認知症の人と家族の会の宮城県支部会員でもあります。
http://www.alzheimer.or.jp/

この他にも

  • 認知症ワーキンググループメンバー
  • 若年認知症のつどい「翼合唱団」

に所属されています。

ご自身が若年性アルツハイマー型認知症であること、そしてその自分の生き方をさらけ出すのは相当な勇気が必要だったと思います。今回の音楽療法学会でも登壇されいるように、様々な場所で公演も行っています。

これは他の分野においても言えることですが、自分の病気の話を先輩から聞くことができるのは、非常に心強いですね。

後ほどご紹介いたしますが、取材も積極的に受けているようです。

音楽療法学会の1番最初のシンポジストとして登場

シンポジウムで1番最初に登場したのが丹野さんでした。私自信、今回の音楽療法学会の中で、1番感情的になってしまった公演。

「感動した」なんて言葉は使いたくないですし、私が伝えなければいけないことは「どうしたらよいのか?」という解決策やアドバイス(というと上から目線になってしまいますが…)、そして音楽療法との関連性だと考えています。

どのようにまとめたら良いのかとても悩むところですが、自分なりにまとめてみようと思います。

認知症だからといって「できることをとらないで!」

丹野さんは、認知症になってもできることはまだまだたくさんある、という「できないことよりもできることに目を向けて生活をしていく」視点を持つことが大切であるとおっしゃっていました。

同時に、認知症患者の周りにいる人にも「できることを取らないでほしい」と訴えかけていました。

普通の人よりも時間はかかってしまいますが、「できる」という積み重ねは自信にも繋がっていきます。そのため、焦らず見守ってほしいとおっしゃっていました。

また、できることを奪うことは、自信を失う原因にもなるそうです。失敗しながらも「できる」経験を積み上げていくことが、自信につながりそれは「自分が生きたい人生像」に近づけることとなります。

認知症でも、自己決定をする

自分の過ごしたい生活ができているか?常に自問自答し、過ごしたい生活に少しても近づける努力も必要なんだそうです。

そのためにも「自己決定すること」とおっしゃっていました。

自分で生きたい人生を生きると決めることも自己決定だと思います。そのためには「認知症だから」なんて思わず、「認知症だけどこれをやってみる!」という気持ちが大切なのかなと感じました。

ひよっこ音楽療法ライター海月
「こうやって生きる!」「こうやって生活する!」と自分で決定し、周りとコミュニケーションをとることが大切なんだなぁと感じました。私たちも、それに対してサポートしてあげるような気持ちでいることもまた重要だと考えさせられました。

全ての人をパートナーと思って信頼すること

もちろん、病気になった自分たちも迷惑をかけないように

  • 自立する気持ちを持つことが大切であること
  • 課題を乗り越えていくことが大切であること
  • 全ての人をパートナーと思って信頼すること

特に、3つ目の「全ての人をパトナーと思って信頼すること」の「パートナー」という言葉に丹野さんんの思いが詰まっていると感じました。

パートナー
共同で仕事をする相手。相棒。
goo辞書より

英語のpartnerには「協力者」という意味もあります。「共同で」「協力者」という意味に丹野さんの思いが込められていると思います。

「認知症だからやってあげよう」と守られるのではなく、「認知症だから見守ってもらう」「できないことは協力してもらう」と「パートナー」として相手を信頼すること。

そして周りも「パートナー」として病気を理解してもらうことも大切だという思いが「パートナーと思って信頼する」という言葉に込められているように感じました。

認知症なので、できなくなることはどんどん増えていきます。しかし、いい意味でできないことを諦めることも重要で、それを周りも受け入れることが大切だとおっしゃていました。

本人よりも周りが病気を受け入れられないこともあるようです。

病気を受け入れてくれる環境を作ることも大切である

認知症は病気なので病院で薬を処方してくれますが、それだけでは不十分なのだそうです。そのためには環境をつくることが大切だとおっしゃっていました。

「家族がいるじゃないか。」と思うかもしれませんが、番身近な家族ほど不安は大きくなってしまうため、病気を受け入れてくれる環境を探すこと重要なのだそうです。

丹野さんの場合は、会社に理解があったため、部署は変わったものの今でも普通に仕事を続けることができています。これは丹野さんにとって大きな自信となっていると思います。

最初はなんでも良いと思うのです。丹野さんが若年認知症の合唱団にも入っているように、まずは認知症の方のコミュニティに入るのも選択肢の1つだと思います。

1日1日を笑顔で過ごしてほしい

最後に「先のことより1日1日を笑顔で過ごしてほしい。」とおっしゃっていたのが印象的でした。

この言葉は私たちにも言えることだと思います。つい毎日の生活がルーティーンとなり忘れてしまいがちですが、「1日1日を笑顔で過ごす」というのは誰でも大切なことですよね?

病気や障害がない私たちは「普通に生活できること」に感謝ができなくなってしまうことがあります。「毎日を笑顔で過ごせているだろうか?」ともう一度見直そうと感じました。

丹野さんのスピーチのとき、会場の雰囲気は他の登壇者の方とは少し違いました。多くの方が丹野さんの言葉をかみしめていたと思います。

認知症の丹野さんの言葉だから響いた、というよりは「丹野さんの言葉だから響いた」スピーチだったと感じます。

ひよっこ音楽療法ライター海月
丹野さんは、このスピーチを「他人事ではなく、自分ごととして受け取ってほしい。」とおっしゃっていました。私たちも発症する可能性がある若年性アルツハイマー型認知症。今回のスピーチはいろいろと感じることの多いものでした。

日経ビジネスオンラインやNHKからも取材を受けている丹野さん

丹野さんは、日経ビジネスオンラインやNHKにも取材を受けています。若くして認知症と診断されたご自身の生き方、同じ病気と診断された方に伝えていきたいという思いから、実名と顔を出してお話をされています。

会員登録をすると無料で全て読むことができます。

NHKの特番の番組内容はこちらから確認できます。(すでに放送は終了しています)

この特番だけではなく、様々な番組にも出演しています。Youtubeで検索すると、丹野さんの色んな動画を見ることができます。

丹野さんも会員である「公益財団法人認知症と家族の会」でも対談記事がありましたのでご紹介いたします。

ひよっこ音楽療法ライター海月
丹野さんの活動をみていると、積極的に取材を受けている印象があります。多くの方に自分の経験を知ってほしい、自分の思いを知ってほしいということが伝わってきますね。

実際に病気になった人の話というのはついつい感情的になってしまいますが、いかがだったでしょうか?少し長くなってしまいましたが、現在若年性アルツハイマー型認知症で悩んでいる方のヒントになればと思います。

今回感じたことは、高齢者の認知症と、若年性の認知症では音楽療法のアプローチは変わってくると思うのですが、どのような方法の音楽療法が若年性認知症に良い影響をもたらすのか?そのあたりも今後調べていけたらと考えています。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA