PT・OT・ ST ?????
音楽療法について勉強したり、音楽療法学会に足を運んだ時によく聞く謎の略語らしき英語…。初めて耳にする方なら頭の中にたくさん「?」が浮かびます。私もその1人でした。
結論から言えば
PT Physical Therapy (Therapist)→ 理学療法(理学療法士)
OT Occupational Therapy (Therapist)→ 作業療法(作業療法士)
ST Speech Therapy(Therapist)→ 言語聴覚療法(言語聴覚士)
のことをいいます。日本語にすると、なんとなく聴いたことあるような言葉ですよね。リハビリや介護、福祉の現場で活躍するお仕事です。そのため、音楽療法とも深く関わりがありそうです。しかし、一体なんの仕事をしているのでしょうか?ちょっぴり調べてみました!
※ちなみに、音楽療法、音楽療法士のことはMT(Music Therapy (Therapist))と言います。
本日のテーマのもくじ
PT:理学療法士は国家資格
理学療法士は国家資格なので、試験を受ける必要があります。筆記試験と口述試験および実技試験の2日間試験があります。試験会場は筆記試験は複数で開催されますが、口述試験および実技試験については東京都のみで行われているようです。(2017年5月12日現在)
受験の詳細は下記リンクを参照してくださいね。
何故、理学療法士が国家資格なのか?それは、理学療法が医療行為として位置付けられているからなんです。理学療法士は医師の指示のもと行います。
ちなみに、理学療法士は名称独占資格といって、資格がなくても仕事をすることは可能ですが、資格がないと「理学療法士」と名乗ることが出来ません。
PT:理学療法って何?
理学療法とは、一体なんなのでしょうか?
理学療法とは病気、けが、高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。
公益社団法人日本理学療法士協会 2017年5月12日参照
つまり、「運動機能が低下した人」が理学療法を受けます。病気や、生まれつき、高齢による衰え、怪我など、原因や理由は関係なく、「運動機能が低下した人」であれば幅広く活用できます。
最近では、運動機能が低下が見込まれる人、防ぎたい人が理学療法を利用する場面も増えています。まさらに、スポーツ選手のパフォーマンス向上にも一役買っています。
理学療法を受けることで、生活の質(QOL:Quality Of Life)や運動パフォーマンスを上げることを目指すことができます。まとめると、下記のような方は理学療法の分野の対象者となります。
- スポーツの最中に起こった怪我
- 交通事故による怪我
- 生活習慣病の患者
- 膝の痛みや腰の痛みを抱える高齢の方
- 脳の麻痺などの小児疾患
- 運動パフォーマンスを上げたいスポーツ選手
- 内科疾患による呼吸や心肺機能の改善や維持を目指す方
OT:作業療法士も国家資格
受験資格も、国家資格の位置付けも理学療法士とあまり変わりません。作業療法士も理学療法士と同様、医師の指示のもと行います。作業療法士の国家資格の詳細をリンクしておきますね。
こちらも、理学療法士はと同様、名称独占資格となります。
OT:作業療法って何?
「作業」とは、食事をとること、入浴することなどの日常生活のことを言います。例えば、以下のような、健常者であればごく普通に行っていることです。
- トイレに行く
- 食事をする
- 掃除や炊事などの家事を行う
- 洋服を着替える
- 食事を作る
- 勉強をする
- 仕事をする
- 趣味を楽しむ
- 元気にはつらつと過ごす
これらができることによって、社会ときちんと関わっていけるようにするのが作業療法と言います。最後に元気にはつらつと過ごす、という項目を書いたのは、「作業」はからだの部分だけではなく、こころにも関係があるからです。
統合失調症や気分障害、うつ病などにも作業療法を行います。さらには、脳の病気から「作業」を行うことが難しい場合もありますよね?代表的なのが認知症やダウン症です。これらの病気にも作業療法が行われます。
ST:言語聴覚士も国家資格
言語聴覚療法士も国家資格ですが、理学療法士や作業療法士にくらべて歴史は浅く、比較的最近施行されました。こちらも医師の指示のもと行います。言語聴覚士は、歯科の分野でも活躍します。
試験は理学療法士や作業療法士と違い、1日だけです。試験は6都道府県で行われます。
ところで、言語聴覚療法を行う人の名称になると、療法がつかないんですね。そしてこの資格も名称独占資格となります。
ST:言語聴覚療法って何?
言語聴覚療法って一体何をするのでしょうか?
ことばによるコミュニケーションには言語、聴覚、発声・発音、認知などの各機能が関係していますが、病気や交通事故、発達上の問題などでこのような機能が損なわれることがあります。言語聴覚士はことばによるコミュニケーションに問題がある方に専門的サービスを提供し、自分らしい生活を構築できるよう支援する専門職です。また、摂食・嚥下の問題にも専門的に対応します。
一般社団法人 日本言語聴覚士協会 2017年5月12日参照
言語聴覚士の説明になってしまっていますが、言葉に関することや、食べること、聴覚に関する分野において、日常生活で困難がある人に向けて行う治療法のことです。たとえば、以下のような方です。
- うまく話すことが出来ない人
- コミュニケーションがうまく取れない人
- 発生がしづらい人
- うまく食事が取れない人
医師や歯医者はもちろん、介護や福祉の専門家や教師、さらには心理専門職の人たちと協力し合い、チームでの一員として仕事を行っていきます。
近年、言語聴覚士の人数が増えてきていますが、それに伴って、活躍の場も増えてきています。
理学療法士(PT)と作業療法士(OT)の違いは?
理学療法士のことを調べていると、作業療法士というワードが出てくることが多々あります。日本理学療法士協会のサイトを見ていると、
「理学療法士及び作業療法士法」第2条には「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」と定義されています。
公益社団法人日本理学療法士協会 2017年5月12日参照
さっそく理学療法士と作業療法士が混在して出てきました(笑)。ともに国家資格ですが、別々の資格であり、医師の指示のもと行います。
しかし、現場によっては混在してしまっている、なんてことも。特に、通所のリハビリ施設や、介護老人保健施設などでは、区別せずリハビリを行う場合もあるようです。
作業療法士の場合はからだの障害だけではなく、こころの障害にも及ぶことが特徴的ですね。これは理学療法士と作業療法士の大きな違いだと思います。
ともに運動機能の低下の回復を図るということがベースになっていますが、大きな違いは日常生活を送る上で最低限必要な動作なのかどうかで判断されます。
さらに大雑把なくくりでいうと、理学療法は脚のリハビリ、作業療法は手のリハビリ、とも言われる場合もあるそうです。しかし厳密に言えば、この説明では不十分です。
そしてもちろん、これは言語聴覚療法にも言えることですが、リハビリの内容がかぶってしまうことももちろんあります。医療でも内科的治療と外科的治療、なんて聞きますが、療法の世界でも、それぞれのいいところを協力して生かせれば、最高のリハビリになりになりそうな気がします。
音楽療法はどの分野になるの?
まず、音楽療法は上記3つと同様に「療法」とついているにも関わらず、国家資格ではありません。療法という名前がつくということは、「治療」ということになるとは思いますが、現時点ではエビデンスもまだ十分ではないため、どちらかというと「セラピー」としての意味合いが強くなっています。
さらに、どの分野?といっても、まだまだ未知数な使い方があるのが音楽療法だと思っています。
しかし、理学療法、作業療法、言語聴覚療法の分野と手を組むと、音楽療法が生かされることはもちろん、それぞれの分野の相乗効果をもたらしてくれそうな予感がします。